Google広告を運用する際、広告の配信先を細かく制御するために「プレースメント除外」機能を活用することがあります。特に、アプリ面への広告配信を制限したい場合にこの機能が役立ちますが、完全な除外が難しいケースも存在します。本記事では、プレースメント除外の概要や使いどころ、具体的な設定方法、アプリ面を除外する理由、問題点、そして解決策について詳しく解説します。
1. プレースメント除外とは
プレースメント除外とは、Google広告のディスプレイ広告や動画広告、PMAXにおいて、特定のウェブサイトやモバイルアプリ、YouTubeチャンネルなど、広告を表示したくない配信先を指定して除外する機能です。これにより、広告主はブランドイメージに合わない場所や、効果が低いと判断される場所への広告配信を防ぐことができます。
プレースメント除外は、Google広告の管理画面で「プレースメント」設定から行い、URLやアプリのカテゴリ、特定のアプリを指定して除外リストに追加します。これにより、広告の無駄なインプレッションやクリックを減らし、予算を効果的に活用することが可能です。
2. プレースメント除外をどういうときに使うのか
プレースメント除外は以下のようなケースで活用されます:
- ブランドイメージの保護:アダルトコンテンツや暴力的な内容を含むサイト、信頼性の低いアプリなど、ブランドにそぐわない場所への広告配信を防ぐ。
- 広告効果の最適化:クリック率やコンバージョン率が低い、または無関係なオーディエンスが集まるプレースメントを除外し、ROIを向上させる。
- 予算の効率化:無駄な配信を削減し、ターゲットに合った配信先に予算を集中させる。
- 特定の業界ニーズ:例えば、B2B企業がゲームアプリやエンタメ系アプリへの配信を避けたい場合。
特に、モバイルアプリへの広告配信は、意図しないクリック(誤クリック)や低品質なトラフィックが発生しやすいため、除外のニーズが高いケースがあります。
3. 具体的なプレースメント除外方法
Google広告でプレースメント除外を設定する方法は以下の手順で行います:
1.Google広告管理画面にログイン:
- Google広告アカウントにアクセスし、対象のキャンペーンまたは広告グループを選択。
2.プレースメント除外の設定画面へ移動:
- 左メニューの「プレースメント」をクリックし、「除外」タブを選択。
3.除外するプレースメントを追加:
- アプリカテゴリの除外:Googleが提供するアプリカテゴリ(例:ゲーム、エンターテイメント、教育など)を選択して除外。
- 個別のアプリURLの除外:特定のアプリを除外する場合、アプリのURL(例:
mobileapp::2-com.example.app
)を入力。 - ウェブサイトの除外:特定のウェブサイトのURLを入力して除外。
4.設定の保存:
- 除外リストを保存し、広告配信に反映させる。
注意点:
- アプリカテゴリの除外は、Google PlayやApp Storeのアプリカテゴリに基づいて設定可能ですが、すべてのアプリがこれらのカテゴリに分類されるとは限りません。
- 個別のアプリを除外する場合、正確なアプリのURLを特定する必要があります。これは、広告レポートの「プレースメント」欄で確認可能です。
4. なぜアプリ面をすべて除外するのか
アプリ面への広告配信をすべて除外したい理由は、広告主の目的や戦略によって異なりますが、主な理由は以下の通りです:
- 誤クリックの多さ:モバイルアプリ、特にゲームアプリでは、広告が小さく表示される場合や、意図しないタップが発生しやすく、質の低いトラフィックが発生する。
- ターゲット外のオーディエンス:アプリのユーザーが広告主のターゲット層と一致しない場合が多く、コンバージョンに繋がりにくい。
- ブランドセーフティ:低品質なアプリや不適切な内容を含むアプリに広告が表示されるリスクを回避する。
- 予算の最適化:アプリ面はインプレッション数が多くなりがちで、予算を急速に消費する可能性があるため、ウェブサイトや他の高品質な配信先に集中したい。
特に、B2Bや高単価商材を扱う広告主にとって、アプリ面はROIが低い傾向にあるため、除外の優先度が高まります。
5. 問題点:アプリカテゴリ除外だけでは不十分
Google広告では、アプリカテゴリ(例:IABの140カテゴリ)をすべて除外しても、完全にアプリ面への配信を停止できないケースがあります。この問題の背景は以下の通りです:
- カテゴリに分類されないアプリの存在:一部のアプリはGoogleの定義するカテゴリに属さず、除外設定の対象外となる。これにより、意図せず広告が配信される。
- アプリURLの特定が困難:除外したいアプリのURLを特定するには、広告レポートを確認する必要がありますが、配信されるまでそのアプリの存在に気付かない場合も多い。
- 動的な配信アルゴリズム:Googleの広告配信システムは動的にプレースメントを選択するため、除外設定が反映される前に一部のアプリに配信されてしまうことがある。
このような問題により、広告主は「アプリをすべて除外したはずなのに配信されている」という状況に直面することがあります。
6. 解決策:個別のアプリURLを除外リスト追加
Google広告のサポートチームからの回答に基づき、完全なアプリ除外を実現するための解決策は以下の通りです:
広告レポートで配信先を確認:
- Google広告の管理画面で「プレースメント」レポートを開き、広告が配信されているアプリのURL(例:
mobileapp::2-com.example.app
)を特定。
個別のアプリURLを除外リストに追加:
- 特定したアプリのURLを「プレースメント除外」に手動で追加。これにより、カテゴリ外のアプリも確実に除外可能。
定期的なモニタリング:
- プレースメントレポートを定期的に確認し、新たに配信されたアプリを随時除外リストに追加する。自動化ツールやスクリプトを活用すると効率的。
カテゴリ除外との併用:
- 既存のアプリカテゴリ除外(IABの140カテゴリなど)を設定した上で、個別URLの除外を追加することで、より網羅的な除外が可能。
代理店やGoogleサポートへの相談:
- 複雑なケースでは、Google広告のサポートチームに問い合わせ、特定のカテゴリ外アプリの除外方法を相談する。
補足:
- アプリのURLを特定する際、Google PlayやApp StoreのストアURLではなく、Google広告のプレースメントレポートに表示される形式(例:
mobileapp::2-
で始まるもの)を使用してください。 - 大量のアプリを除外する必要がある場合、Google広告の「一括編集」機能やGoogle Ads Editorを活用すると効率的です。
まとめ
Google広告のプレースメント除外は、広告配信先をコントロールし、ブランドセーフティやROIの向上を図るための重要な機能です。しかし、アプリ面の完全除外を目指す場合、カテゴリ除外だけでは不十分で、一部のアプリが除外設定をすり抜ける問題が存在します。この課題を解決するには、プレースメントレポートを活用して個別のアプリURLを特定し、除外リストに追加する手間が必要です。定期的なモニタリングと設定の更新を行うことで、より効果的な広告運用が可能となります。
Google広告を効果的に活用したい広告主は、プレースメント除外の設定を丁寧に行い、必要に応じてGoogleのサポートを活用しながら、最適な配信環境を構築しましょう。
参考リンク:
※本記事は、2025年6月30日時点の情報に基づいています。Google広告の仕様は変更される可能性があるため、最新情報を確認してください。

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