GoogleとYahoo!広告でクエリの80%が管理画面に表示されない問題と、広告運用の効率化に向けた対策

リスティング広告
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リスティング広告を運用していると、Google広告やYahoo!広告の管理画面で確認できる検索クエリが全体のわずか20%程度に留まり、80%が「非表示」になるケースが増えています。これは、ユーザーのプライバシー保護を目的とした仕様変更によるもので、広告運用者にとって大きな課題です。特に、関係のないクエリを完全一致で登録しても効果が低いと感じる場合、どのように対策を講じればよいのでしょうか? このブログでは、表示されないクエリの問題を深掘りし、広告運用の効率を高める実践的なアプローチを紹介します。


1. なぜクエリの80%が表示されないのか?

2020年9月以降、Google広告とYahoo!広告はプライバシー保護の観点から、検索ボリュームが少ないクエリ(いわゆるロングテールクエリ)の表示を制限するようになりました。これは、検索回数が少ないクエリが個人特定につながるリスクを軽減するための措置です。さらに、2021年9月以前のYahoo!広告の検索クエリデータ(特に2020年8月31日以前)は管理画面やレポートで完全に確認できなくなりました。

この仕様変更により、広告運用者は以下のような課題に直面しています:

  • クエリの可視性が低下:広告が表示された検索クエリの約80%が「その他のクエリ」として非表示になり、どのような語句で広告が引き当てられたのか把握が難しい。
  • 除外キーワード設定の難易度向上:関係のないクエリを特定して除外するのが困難になり、無駄な広告費が発生するリスクが高まる。
  • 効果測定の精度低下:表示されないクエリが成果にどう影響しているのか分析できず、キーワード最適化の精度が落ちる。

こうした背景を踏まえ、限られたデータで広告効果を最大化するための戦略が求められます。


2. 完全一致キーワードの大量登録はなぜ効果が低いのか?

「関係のなさそうなクエリを完全一致でひたすら入れる」というアプローチは、一見すると無駄なクエリを抑えられそうですが、実際には以下のような理由で効果が限定的です:

  1. 完全一致の範囲が狭すぎる
    完全一致は、登録したキーワードと検索クエリが完全に一致する場合にのみ広告を表示します。しかし、近年のアップデートにより、完全一致でも「類似の語句」や「語順違い」に反応するようになり、想定外のクエリで広告が表示されるケースが増えています。また、非表示クエリの大半はロングテールで多様性が高いため、完全一致で全てをカバーするのは非現実的です。
  2. 非表示クエリの特定が困難
    管理画面に表示されない80%のクエリは、検索ボリュームが少ないものや、媒体がプライバシー基準で非表示にしたものです。これらを「想像して」完全一致で登録しても、的中率は低く、手間と効果が見合わないことが多いです。
  3. 運用負荷の増大
    完全一致キーワードを大量に登録すると、管理画面のメンテナンスが煩雑になり、キャンペーンのパフォーマンス監視や最適化に割く時間が減ってしまいます。

では、どのようにすれば非表示クエリの問題に対処し、広告効果を高められるのでしょうか? 以下に、具体的な対策を紹介します。


3. 非表示クエリに対応する広告運用の実践的対策

3.1 フレーズ一致や部分一致を積極的に活用する

完全一致に頼るのではなく、フレーズ一致や部分一致を活用することで、非表示クエリを含む幅広い検索ニーズに対応できます。以下のポイントを考慮しましょう:

  • フレーズ一致の活用:フレーズ一致は、指定したキーワードの語順を保ちつつ、前後に他の語句が含まれる場合に広告を表示します。たとえば、キーワード「広告運用」をフレーズ一致で登録すると、「広告運用のコツ」や「初心者向け広告運用」といったクエリにも対応可能。非表示クエリの中にある関連性の高いロングテールクエリを拾いやすくなります。
  • 部分一致の最適化:部分一致は拡張性が高く、関連性の低いクエリを引き当てるリスクがありますが、適切な除外キーワード設定を組み合わせることで効果を高められます。2023年7月のYahoo!広告の部分一致精度改善により、以前よりも関連性の高いクエリに広告が表示されるようになっています。

実践例

  • キーワード「リスティング広告」をフレーズ一致で登録。
  • 除外キーワードとして「無料」「格安」などを設定し、予算を無駄にするクエリを事前にブロック。
  • 定期的に検索クエリレポートを確認し、新たな除外キーワードを追加。

3.2 除外キーワード設定の効率化

非表示クエリによる無駄な広告表示を抑えるには、除外キーワードの戦略的な設定が不可欠です。以下の方法を試してみましょう:

  • カテゴリベースの除外キーワード:非表示クエリを個別に特定するのは難しいため、業界や商材に関連しないカテゴリ(例:競合他社名、無料サービス関連語句、求人関連語句など)を洗い出し、まとめて除外設定します。
  • スペースの有無を考慮:GoogleとYahoo!広告では、スペースの有無でクエリが別扱いになる場合があります。たとえば、「ランニングシューズ」と「ランニング シューズ」を両方除外キーワードに登録するなど、細かな設定を徹底します。
  • クエリチェックシートの活用:スプレッドシートに「除外キーワード候補」を整理し、クライアントやチームで共有しながら定期的に更新。指示書に商材の特性やチェック時の注意点を記載すると、作業の精度が上がります。

実践例

  • 除外キーワードリストに「無料」「求人」「マニュアル」を追加。
  • 検索クエリレポートから「業務用 パックティー」など、商材と無関係なクエリを特定し、類似の語句を除外キーワードに登録。
  • スペースあり/なしの両方をカバーする除外設定を徹底。

3.3 スマート自動入札を活用する

Google広告のスマート自動入札(例:目標コンバージョン単価、目標広告費用対効果)は、機械学習を活用して非表示クエリを含む多様な検索パターンに対応します。自動入札は、過去のデータやコンテキストシグナルを基に、成果を最大化するクエリに予算を割り当てます。

実践例

  • キャンペーンで「コンバージョン値の最大化」を設定。
  • 広告文やランディングページを最適化し、自動入札が適切なクエリにフォーカスしやすい環境を整える。
  • 非表示クエリによる無駄なクリックを最小限に抑えるため、定期的に広告の関連性をチェック。

3.4 検索クエリレポートを最大限活用する

管理画面に表示される20%のクエリデータでも、十分な洞察を得られます。検索クエリレポートを定期的に分析し、以下のアクションを実行しましょう:

  • 高パフォーマンスクエリの抽出:コンバージョン率が高いクエリ特定し、キーワードとして追加。
  • 低パフォーマンスクエリの除外:クリック率が低く、コンバージョンにつながらないクエリを除外キーワードに登録。
  • トレンド分析:季節性や市場ニーズの変化を捉え、新しいキーワードや広告文をテスト。

実践例

  • Google広告管理画面で「キーワード」→「検索語句」を選択し、表示回数、クリック数、コンバージョンデータをエクスポート。
  • Excelでデータをフィルタリングし、CTR(クリック率)が1%未満のクエリを除外キーワード候補としてピックアップ。
  • レポートから「ナビゲーショナルクエリ」(例:競合他社名)を特定し、広告表示を避ける設定を追加。

3.5 他のデータソースを活用してクエリを推測

非表示クエリを直接確認できない場合、Google Search Consoleやオーガニック検索データからユーザーの検索意図を推測できます。これにより、非表示クエリの一部を間接的にカバー可能です。

  • Google Search Console:オーガニック検索で流入しているクエリをチェックし、広告キーワードに反映。たとえば、「リスティング広告 初心者」などのインフォメーショナルクエリをフレーズ一致で追加。
  • 競合分析ツール:AhrefsやSEMrushを使って、競合が獲得しているキーワードを参考にし、関連性の高いクエリを予測。
  • ユーザーニーズの分類:検索クエリを「ナビゲーショナル」「インフォメーショナル」「トランザクショナル」に分類し、広告戦略に反映。たとえば、トランザクショナルクエリ(例:「広告運用 依頼」)を優先的にターゲティング。

実践例

  • Search Consoleで「クエリ」タブを確認し、表示回数が多いクエリを抽出。
  • 「広告運用 代行」などのトランザクショナルクエリをキーワードに追加し、広告文に「無料相談」を強調して訴求力を強化。
  • 競合分析ツールで「リスティング広告 費用」などの高ボリュームクエリを発見し、部分一致でテスト配信。

4. 非表示クエリ時代に求められるマインドセット

非表示クエリが増える中、広告運用者は「完璧なクエリ管理」を目指すのではなく、限られたデータで最大の成果を出す柔軟なアプローチが求められます。以下のマインドセットを意識しましょう:

  • データドリブン+仮説思考:表示される20%のクエリデータを徹底分析し、非表示クエリを仮説ベースで補完。たとえば、業界トレンドや季節性を考慮してキーワードを予測。
  • テストと改善の継続:新しいキーワードやマッチタイプを小規模でテストし、成果を基にスケールアップ。失敗を恐れず、PDCAサイクルを高速で回す。
  • 自動化ツールの活用:Google広告の自動入札やYahoo!広告の動的検索広告(DSA)を活用し、運用負荷を軽減しながら非表示クエリに対応。

5. まとめ:非表示クエリを恐れず、戦略的に運用を最適化

Google広告とYahoo!広告でクエリの80%が表示されない現状は、広告運用者にとって確かにハードルです。しかし、フレーズ一致や部分一致の活用、除外キーワードの効率化、スマート自動入札の導入、検索クエリレポートの徹底分析、他のデータソースの活用といった対策を組み合わせることで、非表示クエリの問題を克服し、広告効果を高められます。

特に、完全一致に頼りすぎず、柔軟なマッチタイプとデータドリブンな運用を組み合わせることが鍵です。非表示クエリを「想像して入れる」だけではなく、ユーザーニーズを広く捉える戦略を採用しましょう。限られたデータの中でも、仮説とテストを繰り返すことで、広告運用の成果を最大化できます。


このブログが、クエリ非表示の課題に直面している広告運用者の方々のヒントになれば幸いです! さらに詳しい運用ノウハウやツール活用法を知りたい方は、ぜひお問い合わせでご相談ください。

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